世界一幸せな国Ⅱ※執筆再開
監「はじめまして、イエロードルフィン寮の監督生のバジル・カンデラです。1年間監督生をさせていただきます。分からないことがあればなんでも聞いてくださいね」
監督生もといバジルさんは優しく微笑みながら挨拶をした。
ふんわりとした柔らかな茶髪に少し垂れ目がちな栗色の目。
髪の艶やかさや身だしなみの整いから上位階級の貴族であることは間違いなかった。
しかし、さすがは学園。
挨拶は貴族特有のかしこまったものではなく、前世で見たことがあるような軽いものだった。
ここでは平等であるというのは、本当なのだろう。
「うわぁ、モテそう。あれは優男だ」
ユ「ちょ……?!やめてよ!藍乃には俺がいるんだから!」
「わたしローナ」
ユ「ローナにも俺いるよ?!」
ユアンが必死にじたばたと抗議してくる。
正直かなり嬉しい。そして、楽しい。
バ「ボールドウィン家静かにしてね〜」
私たちが座る席の頭上から、先ほどよりも少し低い声が聞こえた。
(訂正……ただの優男じゃない……ちゃんと既に当主の貫禄あるし、ちゃんと監督生だ……)
彼のいかづちを喰らわないためにも、私たちは素直に黙ったのであった。