月下花火
壱
明るいな……。
足元に落ちた己の影を見つめ、男は小さく呟いた。
今日は中秋の名月か。
顔を上げれば、頭上には煌々と輝く丸い月がある。
俺のこれからの行動を諫めるつもりか。
罪を白日の下に曝す様に、月明かりは俺の姿を浮かび上がらせる。
いいけどな。
盗人じゃねぇし。
顔を見られて困ることはない。
見られたところで、逃げられなければいいだけの話だ。
さわ、と少し涼しくなった風が吹いた。
それに乗って、微かな足音が耳に届いた。
前方に目を凝らすと、上背のある影が近付いてきている。
俺はもたれていた柳の木から身を起こし、ゆらりと通りに出た。
歩いてきた影が一瞬止まり、俺を見る。
が、すぐに先と変わらず歩を進めた。
前に怪しい人影があっても怯まない。
己の腕に自信があるのだろう。
足元に落ちた己の影を見つめ、男は小さく呟いた。
今日は中秋の名月か。
顔を上げれば、頭上には煌々と輝く丸い月がある。
俺のこれからの行動を諫めるつもりか。
罪を白日の下に曝す様に、月明かりは俺の姿を浮かび上がらせる。
いいけどな。
盗人じゃねぇし。
顔を見られて困ることはない。
見られたところで、逃げられなければいいだけの話だ。
さわ、と少し涼しくなった風が吹いた。
それに乗って、微かな足音が耳に届いた。
前方に目を凝らすと、上背のある影が近付いてきている。
俺はもたれていた柳の木から身を起こし、ゆらりと通りに出た。
歩いてきた影が一瞬止まり、俺を見る。
が、すぐに先と変わらず歩を進めた。
前に怪しい人影があっても怯まない。
己の腕に自信があるのだろう。
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