第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
□
「送ってもらって、ありがとうございます」
寄り道のせいもあり、リアンノーズ邸に着いた頃には、空がすっかり赤くなっていた。
アリシアは馬車から降りる前に改めてお礼を言った。
「長い時間付き合わせてしまったな」
「いえ、寄り道したのはわたしです。それに……」
アリシアは一度言葉をきり、少し躊躇ってから続けた。
「何だか楽しくて、ずっとこの時間が続いて欲しい、なんて思ったしまったくらいですから」
それを聞いたイルヴィスは、驚いたように一瞬目を見開いた。
そしてその顔をすっと逸らした。
「あ、変なこと言ってごめんなさい」
困らせてしまったのだろうか。アリシアはそう思い慌てて謝る。
謝罪されたイルヴィスは、軽く髪をかきあげてから首をふった。
「いや……貴女にそう言ってもらえるが、少々意外で」
「そうですか?」
「正直、私と一緒に過ごしたところで、息の詰まる思いをするだけではないのかという不安はあった」
「……そんなこと」
確かに、婚約者という関係ではあれど、彼はこの国の王子だ。二人きりでいて緊張がないというわけではない。
だがそれより、イルヴィスがそんなことを気にしているということこそ、少々意外だ。
「送ってもらって、ありがとうございます」
寄り道のせいもあり、リアンノーズ邸に着いた頃には、空がすっかり赤くなっていた。
アリシアは馬車から降りる前に改めてお礼を言った。
「長い時間付き合わせてしまったな」
「いえ、寄り道したのはわたしです。それに……」
アリシアは一度言葉をきり、少し躊躇ってから続けた。
「何だか楽しくて、ずっとこの時間が続いて欲しい、なんて思ったしまったくらいですから」
それを聞いたイルヴィスは、驚いたように一瞬目を見開いた。
そしてその顔をすっと逸らした。
「あ、変なこと言ってごめんなさい」
困らせてしまったのだろうか。アリシアはそう思い慌てて謝る。
謝罪されたイルヴィスは、軽く髪をかきあげてから首をふった。
「いや……貴女にそう言ってもらえるが、少々意外で」
「そうですか?」
「正直、私と一緒に過ごしたところで、息の詰まる思いをするだけではないのかという不安はあった」
「……そんなこと」
確かに、婚約者という関係ではあれど、彼はこの国の王子だ。二人きりでいて緊張がないというわけではない。
だがそれより、イルヴィスがそんなことを気にしているということこそ、少々意外だ。