第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「それは良かった。夜会の準備は大変でしょうが、頑張ってください」
「はい!ドレスを選んだり参加者の名前を覚えたり、まだまだやることが多いですけど、頑張ります」
「ドレスもまだ決めていなかったのですか……」
もう一週間前なのだが、大丈夫なのだろうか。
後ろでノアも、手を額に当てながらこっそりため息をついていた。
「違うんです!ドレスは、ずっとどれが良いのか考えているんですけど」
呆れたようなミハイルの反応に、アリシアは慌てて弁解してくる。
「イルヴィス殿下に頂いた髪飾りに合うものを……って考えていたら、なかなか決められなくて」
「髪飾り?」
アリシアは、手を頭の後ろにまわして髪飾りを外し、大事そうに見せる。
それは、アネモネを型どった白い花のアクセサリーだった。
「これを、イルヴィス王子が?」
「はい。この前街に行った時、見つけてくれて……」
ミハイルは、イルヴィスが女性物の雑貨の並ぶ店でこの髪飾りを買う様子を想像してみようとした。しかし、溢れ出る気品と冷徹な表情が隠せそうもない第一王子が、普通の店で買い物をする姿は今ひとつイメージできない。
(というか、アネモネの花言葉は確か……)