第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


 イルヴィスが花言葉などというものを知っているとも、知っていたところで気にして選んだとも思えないが、ミハイルは少し笑いそうになる。



(あなたを愛します、だったか)



 まあ、アリシアの方も知らないか気づいていないかのようだし、わざわざ言う必要もあるまい。



「上品でシンプルなデザインのようですし、どのようなドレスでも合うのでは?」


「それはそうなんですけど……もっとこう、髪飾りが引き立つような、このドレスにはこの髪飾りしかないっ!というような物がないかな、と」


「なるほど。ですが、目立たなければならないのは、その髪飾りではなく、貴女自身ですよ。それをお忘れなく」



 言われてアリシアは、少しムッとしたように黙り込んだが、すぐに息を吐いてうなずいた。



「わかってます。もちろん」


「それに、貴女は王妃になるお方なのですから、周囲に舐めて見られるようなことはないような振る舞いをしないといけませんよ」


「だからわかってますって!」



 アリシアらしからぬ苛立った言い方だった。

 しまった。機嫌を損ねてしまっただろうか。そう思ったミハイルは気が付かないふりをして尋ねた。


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