第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


「あら、ごめんなさい。あまりに地味で存在感がなかったものですから、気が付きませんでしたわ」



 微塵も悪かったとは思っていなさそうな物言いである。

 しかし、自分で思うのもなんだが、アリシアのことを地味だというのは少し無理がなかろうか。まあ、彼女に比べればいくらか地味ではあるだろうが。


 そんなことを考えている間に思い出した。



「ごきげんよう、サラ様」



 彼女の名はサラ・ローラン。ローラン公爵家のご令嬢だ。

 学園ではアリシアと同学年で、家柄の良さを鼻にかけたような、高飛車な態度が目立っていた。
 学園でそう関わったことはないが、お茶会という名のイルヴィスの婚約者探しには参加していた気がする。


 サラは挨拶の言葉を口にしたアリシアを見て、フンと鼻を鳴らす。



「アリシア・リアンノーズといったわね」


「はい」


「へぇ……貴女が、ねえ」



 サラは値踏みするように、アリシアのことを頭のてっぺんから足の先までジロジロと眺める。



「貴女のことは調べさせたわ。伯爵家の三女で、学園で目立った成績を残したりはしていない」


「ええまあ……」



 相槌を打つとサラの目付きがギッと鋭くなった。



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