第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「そんな女が、イルヴィス様の婚約者ですって?ふざけないでちょうだい」
「……」
「だって考えてもごらんなさい?家柄はそこそこ、能力もそこそこ、容姿もそこそこ。それなのに、このわたくしを差し置いて王妃なんて……何かの間違いでしょう?」
もしかして、嫌味を言われている……?強い口調で言い続けるサラを見て、アリシアはようやく思う。
(いやいや。わたし、漫画じゃ悪役令嬢よ?どっちかといえば主人公に嫌味を言ったりするのはわたしじゃ?あ、“アリシア”は直接何か言うようなタイプじゃなかったっけ?)
「ちょっと、聞いているの?」
心ここに在らずなのがバレたらしい。派手な顔にこう睨まれると結構恐い。
アリシアは得意の作り笑いを浮かべる。
「もちろん聞いております」
「ふん、どうだか。リアンノーズ家というのがどんな家か知らないけれど、貴女を見ていると教育が行き届いていないのがわかる気がするわ」
「……不快な思いをさせてしまったのなら、申し訳ありません」
「はあ。いったいどんな手を使って選んでもらったというのかしら。聞いた話じゃ、学園に通っていた頃から妙な行動が多かったそうね。変な薬を作っていたとか」
(いやそれ何の情報よ)