第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


 そして、ドリンクのシミがついたアリシアのドレスを見ると、わざとらしく驚いて見せた。



「独特なデザインのドレスなのかと思ったら大変!汚れてしまっていますのね!」


「ええ、先ほど不注意で飲み物をこぼしてしまって」


「まあ、多少汚れていても貴女には十分お似合いですけど、このままではあまりに可哀想かしら。ついていらっしゃい」



 サラは無理やりアリシアの手をつかんだ。思ったより力が強い。



「ちょ、ちょっと待ってください」



 グイグイ引っ張られ、呼び止めるが聞き入れてもらえない。気づけばそのままパーティー会場から出ていた。



「サラ様、いったいどこへ……」


「その服のままあの会場に居続けるつもりですの?」


「それは……その」


「服の汚れを落として、他の服を貸してもらいにいかなくてはならないでしょう?」



 サラの言っていることは正しいし、拒否してさらに関係が悪くなるのも避けたいので、アリシアは諦めてついて行くことにした。

 しかし、どこに向かっているのだろう。ドレスを貸してもらえる場所などあるのだろうか。



 城の中は静かだった。夜会の会場の方へ人手が割かれているからだろう。


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