第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
16.雷鳴
□
(あれ、ここって)
改めてランプで辺りを照らすと、アリシアは閉じ込められたこの部屋の正体がわかった。
(なんだ、いつもの給湯室。暗くてわからなかったわ)
ハーブティーを淹れるときにいつもお世話になっている部屋だ。暗いだけでずいぶん印象が違う。この部屋なら、城で働いている人も使う場所だから、最悪の場合でも明日には誰かが来てくれるだろう。
そうとわかれば、慌てたって仕方がない。外が雨のせいか少し冷える上、転んだ拍子に靴が脱げてしまったらしく、足から床の冷えがダイレクトに伝わってくる。何か温かいお茶でも淹れようか。
アリシアは先ほど感じた不安な気持ちなど忘れたかのように、どこか機嫌よく紅茶の入った瓶を漁り始めた。
時間をかけて、無難なダージリンティーを手に取ったその時だった。
小窓から見えていた真っ暗な空が、突然真昼になったかと思うほどの明るさで光った。そして数秒後には、ゴロゴロと大きな音が響いてくる。
「ひっ……か、雷?」
心臓が大きく跳ね上がり、思わず耳をふさぐ。
(嫌……雷は本当にダメ)
雷は苦手だ。それこそ前世からずっと。
記憶を取り戻す前から怖かったが、取り戻してからはその記憶も相まってさらに苦手になった。
(あれ、ここって)
改めてランプで辺りを照らすと、アリシアは閉じ込められたこの部屋の正体がわかった。
(なんだ、いつもの給湯室。暗くてわからなかったわ)
ハーブティーを淹れるときにいつもお世話になっている部屋だ。暗いだけでずいぶん印象が違う。この部屋なら、城で働いている人も使う場所だから、最悪の場合でも明日には誰かが来てくれるだろう。
そうとわかれば、慌てたって仕方がない。外が雨のせいか少し冷える上、転んだ拍子に靴が脱げてしまったらしく、足から床の冷えがダイレクトに伝わってくる。何か温かいお茶でも淹れようか。
アリシアは先ほど感じた不安な気持ちなど忘れたかのように、どこか機嫌よく紅茶の入った瓶を漁り始めた。
時間をかけて、無難なダージリンティーを手に取ったその時だった。
小窓から見えていた真っ暗な空が、突然真昼になったかと思うほどの明るさで光った。そして数秒後には、ゴロゴロと大きな音が響いてくる。
「ひっ……か、雷?」
心臓が大きく跳ね上がり、思わず耳をふさぐ。
(嫌……雷は本当にダメ)
雷は苦手だ。それこそ前世からずっと。
記憶を取り戻す前から怖かったが、取り戻してからはその記憶も相まってさらに苦手になった。