第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「痛い!痛いですわ、ロベルト様っ」
「あんたがアリシア嬢を無理やり会場の外へ連れ出しているところは何人もの人間が見ているようだが?」
「それはっ……ご、誤解です」
いったい何が誤解だというのだ。イルヴィスは冷ややかな気持ちでサラを見る。
パーティー会場でも、サラはアリシアに何やら言いがかりをつけていた。
アリシアが揉め事になるのを嫌っていた様子だったのでそのことに言及するようなことはしなかった。しかしサラはそれを良いことに、凝りもせず……ということか。
イルヴィスは怒りを抑えて努めて穏やかに問う。
「私の婚約者がどこにいるのか知っているのなら、教えてもらえないか」
「ですから、わたくしは……!」
サラはイルヴィスの冷たい目に気がついたのか、言葉を詰まらせる。そしてわかりやすく目をそらしながら言った。
「そもそも、何故あの子がイルヴィス様の婚約者なんですの?王妃としての素質も教養も乏しい……特別力のある家の娘でもありませんわよね?」
「何が言いたい?」
「どう考えても王妃には──貴方の結婚相手に相応しいとは思えませんわ」