第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「ハーブティーは眠りを妨げないお茶ですが、せっかくなら飲むとさらにゆっくり寝られそうな優しい味の方が、嬉しくないですか?」
「ええ、まあ」
曖昧に返事をすると、ミハイルは満足そうにうなずいた。
そしてイルヴィスとロベルトの方を見て言う。二人は少し前まで怯えていたアリシアがにわかに楽しそうにしだしたためか、安心したような呆れたような、という様子だ。
「王子たちの分もご用意させていただきます。走ったり怒ったりでお疲れでしょう。向こうの部屋でお待ちください」
それからまたアリシアに視線を戻す。
「アリシア様も待っていてくださっても構いませんが……」
「いえ、わたしはミハイルさんのお手伝いをさせてもらいます」
すぐに首を振った。ミハイルがどんなハーブティーを淹れるのか気になる。
「ですよね。ではこちらへ」
ミハイルに言われてついて行くと、彼はポットではなく小さめの鍋を用意していた。
見ると、中に入れているのは水ではなく牛乳だった。
その鍋の中に、瓶に入っていたカモミールをスプーンにたっぷりのせて入れる。
「ミルクで煮出すんですか?」