第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
アリシアは驚いて尋ねる。ハーブティーをこんな風に淹れるのなんて見たことがない。
「はい。ハーブミルクティーです。ハーブティーというよりは、ハーブの香りがするホットミルクというイメージが近いですかね」
ミハイルは鍋の中身をぐるぐるとかき混ぜながら、弱火でゆっくりと温める。
しばらくそうしていると、ふんわりと甘いミルクと、それを彩るように控えめなカモミールの香りが鼻腔をくすぐった。
「わあ、いい香り」
「レモンバームやミントを使っても美味ですよ。フレッシュハーブを使うとさらに香りが立ちます」
説明しながらも、まだかき混ぜている。しばらく時間がかかりそうだ。
ふと静かになった。
そのままカモミールミルクティーが出来上がる様子を静かに見ていてもよかったのだが、アリシアはそれが少し退屈で、良い機会だと、気になっていたことをミハイルに尋ねた。
「ねえ、ミハイルさんってもしかして──」