第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


 ノアの方だって、ミハイルのことは良く思っているようだし、二人はどこか似通った空気を感じる。

 少し期待したが、ミハイルは曖昧に笑って誤魔化してきた。



「あまり好き勝手言ってはノアさんにも失礼ですよ」


「それは……」


「ミルクティー、そろそろ完成します」



 ミハイルから明確な答えが得られなかったのは不服だったが、ホカホカと湯気を立てるミルクティーを見ると、そんな気持ちは吹っ飛んだ。



 ホットミルクの白に、ほんのりと黄色味を帯びた優しい色。

 香りも普段飲むカモミールティーよりいくらか柔らかい。



「美味しそう!」


「蜂蜜とシナモンを適量加えたら出来上がりです。出来たら味見をしてみてください」



 促されて、アリシアはカップに移されたカモミールミルクティーにスプーン一杯の蜂蜜と、少量のシナモンを入れた。

 こんなハーブティーは初めてだ。ドキドキしながらカップの中身を一口含む。



「!」



 シナモンの軽い刺激の後、甘いホットミルクの味が口に広がる。その中に、控えめながらも存在を主張するカモミール。

 初めて飲む味なのに、どこか懐かしさのような安心感のようなものを感じる。


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