第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
仕方がないので、やんわりと抵抗を試みた。
「あの……わたし、ロベルト様のお相手が務まるほどダンスが上手くなくて」
「今日のために練習したのだろう?」
「まあそうですけど、昔から本当に苦手で……」
「知っている」
「はい?」
ロベルトは握ったアリシアの手を引き、立ち上がらせた。
「学園時代、ずいぶん苦労していたもんな」
「え、どうしてご存知なんです」
「見ていたからに決まっているだろう」
第二王子の目に止まってしまうレベルで酷かったということか。わかっていたが少し落ち込む。
「だが、練習して上達したのだろう?それとも、実はあの頃から少しも進歩していない?」
「っ、そんなことないです!」
「ふうん。信じられないな」
ロベルトはニヤリと笑みを浮かべる。わかりやすい挑発。ここで乗ったら負けだ。
そう思ったアリシアははっきりと言ってやった。
「いいですよ?なら上達したという証拠を見せましょう」
堂々とした態度でわかりやすい挑発にわかりやすく乗った。
イルヴィスはそんなアリシアを見て呆れたように肩をすくめた。
「……アリシア、日頃から単純な人だと言われたりはしないか?」
「まあまあ兄上。そういうところも可愛らしいんでしょう?」