第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
□
王宮へ来たことがあると言っても、あくまで、この前のお茶会のようなパーティの時だけ。それらのパーティは庭か大広間のような場所でしか行われないので、城内のそれ以外の場所へ行くのは初めてだった。
門付近で待ち構えていたメイドにより、アリシアたちは大きな客間へ通された。
「しばしお待ちください」
深く頭を下げて客間を出るメイドを見て、アリシアは緊張がピークに達した。何とか落ち着こうと、大きく息を吸うと、馴染みのある香りが鼻腔をくすぐった。
(あ、この落ち着く香りは……)
部屋をぐるりと見渡すと、隅の方にたくさんのラベンダーを生けた花瓶があるのが分かった。この香りはそこからしているのだろう。
好きな香りというのは、それだけで気持ちが落ち着いていく。
「グランリア王国の北の地域でつくられたラベンダーだ」
花瓶に気を取られていると、背後から凛とした声がした。男性にしては若干高めだが、聞くと何となく気を引き締めてしまうような威厳がある声だ。
アリシアは驚いて姿勢をただし、声の方を見る。
王宮へ来たことがあると言っても、あくまで、この前のお茶会のようなパーティの時だけ。それらのパーティは庭か大広間のような場所でしか行われないので、城内のそれ以外の場所へ行くのは初めてだった。
門付近で待ち構えていたメイドにより、アリシアたちは大きな客間へ通された。
「しばしお待ちください」
深く頭を下げて客間を出るメイドを見て、アリシアは緊張がピークに達した。何とか落ち着こうと、大きく息を吸うと、馴染みのある香りが鼻腔をくすぐった。
(あ、この落ち着く香りは……)
部屋をぐるりと見渡すと、隅の方にたくさんのラベンダーを生けた花瓶があるのが分かった。この香りはそこからしているのだろう。
好きな香りというのは、それだけで気持ちが落ち着いていく。
「グランリア王国の北の地域でつくられたラベンダーだ」
花瓶に気を取られていると、背後から凛とした声がした。男性にしては若干高めだが、聞くと何となく気を引き締めてしまうような威厳がある声だ。
アリシアは驚いて姿勢をただし、声の方を見る。