第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
食べ終えた後は服も着替え、完全にいつものモードになった。夜会向けの豪華なドレスも良いが、やはりこちらの方が落ち着く。
王宮内は、夜会の片付けも終わり、普段の様子を取り戻しているように見えた。
いつもイルヴィスがいる執務室へ行き、通してもらう。
「殿下、アリシア様がお越しです」
こうやって扉を開いてもらい、イルヴィスと対面する瞬間がいつも一番緊張する。
「おはようございます、殿下」
「アリシアか。気分はどうだ?」
「おかげさまで。良い部屋を用意してくださりありがとうございます」
「気に入ってもらえたなら良かった」
書類を整え、顔を上げたイルヴィスと目が合う。
また、昨夜彼に抱きしめられたことが脳裏に蘇ってきた。カアッと頬が熱くなり、思わず目をそらしてしまった。
「き、昨日は本当にたくさんのご迷惑をおかけしました」
「迷惑?貴女は何も悪くないだろう。むしろ昨夜はこちらの方も楽しい時間を過ごせたと礼を言いたいぐらいだ」
「ですが」
不意にイルヴィスが立ち上がった。そしてアリシアの目の前に立ち、顔を覗き込んでくる。
「どうして目を合わせない?」
「え?えっと……」