第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
シュッとした顎のラインに、吸い込まれそうなほど鮮やかな緑の瞳。
金色なのに無駄な輝きがなく、透き通るようなという表現が合いそうな髪は、肩につくくらいまで伸びている。その髪の間から、青い宝石がついたピアスが揺れる。
そんな、油断をすれば息を止めて見入ってしまいそうな美形の男。歳は20だというが、それ以上に落ち着いた雰囲気がある。
グランリア王国第一王子、イルヴィス・グランリア。お茶会での挨拶の時、一度近くで顔を合わせたが、何度見てもやはり美しい。
「このような形で再びお目にかかることができ、光栄です。殿下」
アリシアは父と一緒に立ち上がり、頭を下げて言った。イルヴィスはそんな二人に、座るよう促し、自分もアリシアたちに向かい合うように座る。
「ご足労感謝する、リアンノーズ伯爵、そしてアリシア嬢」
イルヴィスは口もとにうっすら笑みを浮かべる。それから少し花瓶の方へ目をやった。
「アリシア嬢はラベンダーの香りが好きだろうと思い準備させたのだが、すぐに気付かれたようだな。気に入って頂けたか?」
「はい。……あの、何故わたしがラベンダー好きだと?」
「茶会の時、貴女からは優しいラベンダーの香りがした」