第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
19.次
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晴れ渡った空は真っ青で、長い時間見ているには眩しすぎるくらいだ。
過ごしやすかった気候はいつの間にか過去のものとなり、今や七分袖のワンピースでは少し汗ばんでくるくらいになった。
「……さま、お嬢様!」
自室で何をするでもなくぼんやりと外を眺めていたアリシアは、自分を呼ぶ声にゆっくり顔を上げる。
侍女のノアは、手に持っていた分厚い本をアリシアに手渡しながら、不安そうに首を傾げた。
「お嬢様、いったいどうしたのですか?ここ最近、様子がおかしいです」
「……そんなことないわ」
「あります!今だって、この家で一番分厚い百科事典をもってこい、だなんて……いったい何をするおつもりで?」
「今まで見かけたことすらなかった人を、一度認知したとたん頻繁に出くわしてしまう現象の名前を調べたくて」
「は?」
パラパラと辞典をめくる。何も本気で調べものをしたいわけではない。それどころか何をするにも今ひとつ身が入らない。
ヒロインであるニーナと遭遇してしまってからしばらくが経つ。
これまで彼女のことは噂に聞くばかりで見たことはなかったのに、あの日以来ほぼ毎日、何らかの形で顔を合わせている。
晴れ渡った空は真っ青で、長い時間見ているには眩しすぎるくらいだ。
過ごしやすかった気候はいつの間にか過去のものとなり、今や七分袖のワンピースでは少し汗ばんでくるくらいになった。
「……さま、お嬢様!」
自室で何をするでもなくぼんやりと外を眺めていたアリシアは、自分を呼ぶ声にゆっくり顔を上げる。
侍女のノアは、手に持っていた分厚い本をアリシアに手渡しながら、不安そうに首を傾げた。
「お嬢様、いったいどうしたのですか?ここ最近、様子がおかしいです」
「……そんなことないわ」
「あります!今だって、この家で一番分厚い百科事典をもってこい、だなんて……いったい何をするおつもりで?」
「今まで見かけたことすらなかった人を、一度認知したとたん頻繁に出くわしてしまう現象の名前を調べたくて」
「は?」
パラパラと辞典をめくる。何も本気で調べものをしたいわけではない。それどころか何をするにも今ひとつ身が入らない。
ヒロインであるニーナと遭遇してしまってからしばらくが経つ。
これまで彼女のことは噂に聞くばかりで見たことはなかったのに、あの日以来ほぼ毎日、何らかの形で顔を合わせている。