第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
□
「アリシア、顔が明るくなったな」
王宮。既に日課となって長い、婚約者とのティータイム。
カップにミントティーを注いでいると、不意にイルヴィスが言った。
アリシアは、「え?」と手を止め、イルヴィスを見た。
「悩みは解決したのか?」
「……悩んでいるように見えましたか?」
「違うのか?」
「まあ……違いません」
悩んでいたことを認めたアリシアを見て、イルヴィスは、思い通りだというように笑った。
「それで?悩みはなくなったのか?」
「はい」
アリシアは答えて、爽やかな香りが漂うお茶を差し出した。
スっと鼻を抜けるような香りは初夏に似つかわしいが、そろそろホットではあついだろうか。アイスティー向けのハーブティーも用意しなければ。
そんなことを思いながらイルヴィスの向かいに座ったときだった。
「殿下、失礼いたします」
イルヴィスの側近の一人が部屋に入ってきた。彼はアリシアに会釈してからイルヴィスに近づき、何やら耳打ちした。
何か執務に関することらしく、イルヴィスは一つうなずくと「すぐに行く」と答えてティーカップに手を付けた。
「お仕事ですか?」
「ああ。せっかく淹れてもらったのにすまないな」
「いえ。お茶はいつでも淹れられますからお気になさらないでください」
「アリシア、顔が明るくなったな」
王宮。既に日課となって長い、婚約者とのティータイム。
カップにミントティーを注いでいると、不意にイルヴィスが言った。
アリシアは、「え?」と手を止め、イルヴィスを見た。
「悩みは解決したのか?」
「……悩んでいるように見えましたか?」
「違うのか?」
「まあ……違いません」
悩んでいたことを認めたアリシアを見て、イルヴィスは、思い通りだというように笑った。
「それで?悩みはなくなったのか?」
「はい」
アリシアは答えて、爽やかな香りが漂うお茶を差し出した。
スっと鼻を抜けるような香りは初夏に似つかわしいが、そろそろホットではあついだろうか。アイスティー向けのハーブティーも用意しなければ。
そんなことを思いながらイルヴィスの向かいに座ったときだった。
「殿下、失礼いたします」
イルヴィスの側近の一人が部屋に入ってきた。彼はアリシアに会釈してからイルヴィスに近づき、何やら耳打ちした。
何か執務に関することらしく、イルヴィスは一つうなずくと「すぐに行く」と答えてティーカップに手を付けた。
「お仕事ですか?」
「ああ。せっかく淹れてもらったのにすまないな」
「いえ。お茶はいつでも淹れられますからお気になさらないでください」