第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


 確かに、漫画でのアリシアは、学園で表彰されるほどの好成績を残した人物だった。だが今ここにいるアリシアは、学園での成績は中の中といった感じだ。

 正直に言えば、ハーブティーなどの興味のあることに時間を割いていたため、あまり勉強はしていなかった。


 そうなると、イルヴィスは家柄を見て決めたわけでも、成績を見て決めたわけでもないということになる。



「……」



 イルヴィスは、アリシアの質問に少し困ったように眉をひそめた。



(もしかして)



 その様子を見たアリシアはふと気付く。



(殿下にも、何故わたしを選んだのか分からないのかも。漫画のストーリーを成り立たせるために、どこかで何かしらの力が働いた……とか)



 馬車の中でも考えていた可能性。だが、本当にそんな力が働いているとは正直考えたくない。だってそうだとしたら、抗いようがないではないか。

 なので、とりあずその考えは一旦捨てることにした。



「えっと、確か正式に婚姻を結ぶまで、一年間の婚約期間が必要なんですよね」



 アリシアはイルヴィスからの答えは望めないだろうと、話を変えた。



「ああ、相性を見る必要があるからな。その間貴女には王宮内への自由な出入りを認める」


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