第一王子に、転生令嬢のハーブティーを



「……なるほど。それで僕に白羽の矢が立ったわけですか」



 ノアから話を聞いたミハイルは、考えこむように腕を組んだ。



 静かなカフェの店内。

 アリシアが現在置かれている状況をしっかり理解していて、味方になってくれると確信がもてる。なおかつ適切な助言を与えてくれそうな人物として最初に思いついたのはミハイルだった。


 しかし、彼に会うのには意外と時間を要した。

 考えてみれば、そもそも王宮内に入る許可が下りているアリシアだけ。彼女に付いていなければ、ノアはその門をくぐることが叶わないのだ。

 門番にミハイルとの面会をしつこく求め、会えたのは一時間ほど経ってからだった。


 それでもアリシアのためだと思うと、待っている時間もたいして辛くはなかった。


 現れたミハイルは、ノアの顔を見て少し驚いていたが、その場では何も聞かずこのカフェへ誘った。話したいことの内容を察したのだろう。



「ご迷惑なのは承知です。だけど、屋敷にこもって辛そうにしている今のアリシア様を見ていられないのです。どうか、協力して頂けませんか?」


「……協力、とおっしゃいますが、僕に何かできることがあるのですか?」


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