第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
ない、と言おうとしたが、心当たりがあったので口を濁す。
静かに息を吐き出し、気持ちを鎮めてから言った。
「……ご用件をお聞きしても?」
「貴女に会いたくなってな」
「っ……嘘はいいです」
「あながち嘘でもないのだが……まあいい。本題、だな」
イルヴィスは指を組んで、アリシアの目をまっすぐ見た。
その鋭い光の宿る緑の瞳に見つめられると、色々なことを見透かされているような気分になる。
「例のメイドが、貴女に毒を盛られて危うく死にかけたのだと言い張っているのは知っているか?」
「いえ……ただ、予想はしていました」
「今までにもさんざん嫌がらせを受けていたのだとも言っている」
嫌がらせなどした覚えはない。だが、これがきっと物語の強制力。
だとしたら、イルヴィスがここに来た理由は、アリシアがニーナに嫌がらせをした証拠を見つけるためだろうか。
アリシアはグッと唇を噛み、次の言葉を待つ。
しかしイルヴィスが言ったのは、少しばかり予想外なことだった。
「何故あのメイドがそのような嘘をつくのか、ミハイルと貴女の侍女が色々と探ってくれているらしい」