第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
アリシアの口から、思わず「え……」という声がもれる。
「嘘?」
「貴女に毒を盛られたというのも嫌がらせを受けたというのも、誰がどう考えても嘘だとわかる。しかしながら、私もそうだが特にミハイルは、どうして聡明なあのメイドがそのような露見しやすい嘘をついたのかが引っかかるようでな」
「ちょ、ちょっと待ってください」
当たり前のようにアリシアの無実を前提に話され、続けようとするイルヴィスを思わず止めた。
彼は話の腰を折られて、少し戸惑ったように首をかしげる。
「どうした?」
「えっと……殿下は、わたしがニーナさんに毒を盛ったのだと疑っていないのですか?」
「……少しも疑っていないが?」
「では何故、わたしを自宅謹慎にしたんですか?」
「あのメイドが倒れたことは事実だから、事実がわかるまで貴女の淹れるものを飲むのをやめろと周りがうるさくてな。いい機会だから貴女には少し休んでもらおうと……というか、最初にそう説明しなかったか?あと謹慎という言い方をした覚えもない」
「聞いてない!……はず……です……たぶん」
だんだん自信がなくなってきた。言われてみればそんなことを言われたような気がしてきた。