第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「貴女はあの土地がローラン家のものであると調べたのね。わたしを陥れることができたら、その土地を譲ってもらうと契約をしたのではない?」
アリシアは、ここ数日文字通り走り回って得た情報と、そこから導いた推論をニーナに話した。
ニーナは初めこそアリシアの目をまっすぐ見ていたが、しだいにその顔は下を向いていった。その反応は、アリシアの話が事実であると物語っていた。
「ニーナさんがあの孤児院に思い入れがあるのはわかったわ。だけど、元院長は貴女がまるで院が潰れたのが自分のせいだといわんばかりに責任を感じているようだったと言っていた。それは何故?」
「アリシア様。あたしも、ずっと考えていたことが一つあるのです」
ニーナはゆっくり顔を上げると、アリシアの問いを無視して微笑む。
「アリシア様も、前世の記憶をお持ちなのではないですか?」
「……え?」
全く予想していなかった言葉に、アリシアは初め聞き間違えたのかと思った。
前世の記憶を持っている。
誰にも話したことはない。おかしなことを言い出したと思われるだけだろうから。
「やっぱりそうなんですね」
「どうして……」
「あたしもそうだったからです。前世は日本人のOLでした」