第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「な、何を言っているの?あなたは……」
かろうじて口から出てきた声から、サラの動揺ぶりが窺い知れる。
紅をさした、ふっくら赤い唇がわなわなと震えている。
「毒を飲み倒れたのは事実ですが、あれはサラ様たちの指示により行った自作自演。結果として多くの人に迷惑を掛けてしまったことを、この場で謝らせてください」
対照的に、ニーナの話し方はあくまで落ち着いていた。
深く頭を下げたニーナは、その体勢のまま続ける。
「それから、あたしはアリシア様の悪評を立てるため、嫌がらせを受けたのだと証言しました。サラ様たちはその証言に信ぴょう性を持たせるため、そこのメイドたちを買収して、先ほどのようなことを言わせたのかと」
「ちょっとあなた!」
叫ぶサラの声は、これでもかというほど怒りに震えていた。
「証拠がないわ」
「……なるほど、確かに証拠がない」
サラの言葉に答えたのは、今まで黙って聞いていたイルヴィスだった。
「なら一つ尋ねても良いだろうか。ニーナ、その話が本当だとして、何故お前は今になって言い出した?その理由が知りたい」
「騙されていたと知ったからです」
「騙された?」