第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「サラ様たちは協力する対価として、ローラン家が所有しているという元孤児院の土地と建物を与えると口約束しました。あたしがどうしても手に入れたかった大切な場所です」
サラと、それからサラの父親は何かに気がついたように苦い表情を浮かべた。
「でも、あの場所は既にローラン家のものではなかった。」
あの日、アリシアがニーナに告げた真実。
『あの孤児院のある土地だけど、今はローラン家のものではないわ』
『そんなはず……ちゃんと調べて……』
『つい最近、王家がローラン家から買い取ったらしいの。詳しい理由は不明だけど、何やらデュラン殿下が指示をしていたそうよ』
これはイルヴィスから聞いた情報だ。
デュランがそんなことをするとしたら、その理由は一つしか思いつかない。
『デュラン様が……?まさか』
『ニーナさんは、デュラン殿下に孤児院のことを話したことがあるのではない?きっと彼は貴女のために──』
ニーナがローラン家に従って行動をした意味を否定する真実は、考え方によっては少し残酷かもしれない。アリシアはそう思ったが、ニーナは騙された悔しさをバネにアリシアへの協力を決めてくれた。
「後日デュラン殿下本人に確認したら、事実だとお認めになりました」
「なるほど。ローラン家はそもそもお前に対価を支払うつもりはなかったのか」