第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
そしてサラは、アリシアが言った通りに一気にお茶をあおり──それをものすごい勢いで全て噴き出した。
「ぶはっ……なっ……によコレっ!!」
公衆の面前で口の中のものを噴き出すなどという失態に顔を真っ赤にしながら、サラはアリシアに食ってかかる。
アリシアはそれに臆せず、涼しい顔で解説する。
「古今東西わたしの知りうる限りの苦い薬草をブレンドした、激にが薬草茶です。名付けて『アリシアスペシャル』」
センブリをメインに、ドクダミやリンドウなど、独特すぎる味の薬草を多数使用してみた。体には良くとも、味は想像を絶するものである。
ちなみに、少し味見をしただけのニーナは、あの可愛い顔を醜く歪めていた。それぐらいには酷い味だ。
「これと同じポットがあと二つ用意してあるの。全部飲み切ったら、今回のことを許すことにしますね!」
アリシアは笑顔で言う。ローラン父娘の顔がサッと青くなった。
「大丈夫。三分の一ほどニーナさんが飲んでくれるそうですから。三人で頑張ってくださいね」
アリシアの言う仕返しが、この『アリシアスペシャル』のことだと聞いたニーナは、初め「甘い、優しすぎる」と言っていた。
そして、それでアリシアに対して罪を償えるのならば、自分もいくらでもその薬草茶を飲むと申し出てきた。