第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
……しかしそれも、味見をした時点でかなり後悔したように見えるが。
「お嬢様、実は彼女のことを全然許していなかったんですね」
一部始終を見ていたノアがボソリと呟いた。
「何のことかしら?」
「いいえ。お嬢様のことは怒らせたくないと身をもって感じたまでです」
「同感だ。私の婚約者は怒らせない方が良い」
いつの間にかアリシアの隣にいたイルヴィスが、優しい笑みを浮かべてノアに同意した。
それから、そっとアリシアの頭を撫でる。
その様子を見た、数人の令嬢たちが「わあ」と声を上げたた。
「あのイルヴィス殿下が……あんなに優しい表情をしていらっしゃるわ……!」
「本当……いつも氷のように冷たい目をしていらっしゃるのに!アリシア様にはああやって笑顔を向けられるのね!」
それを聞き、何を言っているのだろう、とアリシアは思う。
(殿下は意外とよく笑うし、笑えばいつだって優しい雰囲気になるのに)
当のイルヴィスは特に気にする風でもなく、参加者たち全員に向けて言った。
「皆、騒がせてしまい申し訳なかったな。引き続き茶会を楽しんでくれ。ああ、それから……」