第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
アリシアは「待ってました!」とガッツポーズをしたくなる衝動を堪えて上品に微笑む。
「わあ、嬉しい。いつもありがとうございます」
ここに来るといつも振舞ってもらえるフレッシュハーブティー。すっかり1日の楽しみになっている。
「いいですね、タイム。クセは強いですけど、のどに優しいし、わたしは好きです」
「そうですか。僕は風邪をひいた時によく飲むので、これを飲むと体調が悪いような気分になりますね」
タイムには殺菌効果などもあり、風邪予防になると言われている。実際の効果がいかほどかは知らないが、去年家族や使用人にしばらく振舞ってみたところ、例年より風邪をひいた者が少なかった。今年もぜひ試したい。
「そういえばアリシア様」
ミハイルは思い出したというように顔を上げた。
「イルヴィス王子とはどうですか?」
「……?どうって」
「愛想の良い方とは言えませんし、うまくやっていけそうかと思いまして……まさかこう毎日ここに訪れて、一度も王子とお会いしていないということはないでしょう?」
当然のように言われ、アリシアはギクリとする。
「あ……えっと……」
「……アリシア様?」
「その、まさか……ですね」