第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
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「お茶係」という役職は、この国の王宮には存在しない。アリシアはミハイルに案内されながらそんな説明を受けた。
ならば誰がお茶を準備しているのかというと、副メイド長というメイドの中でも上の地位にいる女性の仕事なのだという。
「ここが給湯室です。恐らくちょうどお茶の用意をしている時間ではないかと思うのですが……」
ミハイルは戸を数回ノックしてから開けた。
中には、40代ぐらいの、落ち着いた雰囲気を醸すメイドがいた。
「あの、ご機嫌よう」
アリシアが様子をうかがうように声をかけると、彼女は振り返り、目に驚きの色を浮かべた。
「貴女様は確か……」
「リアンノーズ家のご令嬢で第一王子の婚約者、アリシア様です。
アリシア様、彼女がこの王宮の副メイド長です」
名乗る前に、ミハイルが互いを手早く紹介した。
(何か……いかにもベテランって感じ)
その厳しそうな目付きと、苦労を重ねてきた証であろう眉間のシワ。それでも顔立ちは割と整っていて、若い頃はさぞかし美しい娘だったのだろうと想像される。
副メイド長の方はアリシアのことを知っていたようで、深く頭を下げた。
「お茶係」という役職は、この国の王宮には存在しない。アリシアはミハイルに案内されながらそんな説明を受けた。
ならば誰がお茶を準備しているのかというと、副メイド長というメイドの中でも上の地位にいる女性の仕事なのだという。
「ここが給湯室です。恐らくちょうどお茶の用意をしている時間ではないかと思うのですが……」
ミハイルは戸を数回ノックしてから開けた。
中には、40代ぐらいの、落ち着いた雰囲気を醸すメイドがいた。
「あの、ご機嫌よう」
アリシアが様子をうかがうように声をかけると、彼女は振り返り、目に驚きの色を浮かべた。
「貴女様は確か……」
「リアンノーズ家のご令嬢で第一王子の婚約者、アリシア様です。
アリシア様、彼女がこの王宮の副メイド長です」
名乗る前に、ミハイルが互いを手早く紹介した。
(何か……いかにもベテランって感じ)
その厳しそうな目付きと、苦労を重ねてきた証であろう眉間のシワ。それでも顔立ちは割と整っていて、若い頃はさぞかし美しい娘だったのだろうと想像される。
副メイド長の方はアリシアのことを知っていたようで、深く頭を下げた。