第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
茶葉は同じダージリンでも、王子に出しているものよりいくらか質の劣る、練習用のものを渡された。
「アリシア様。ドライミントはこれでよろしいですか?」
ミハイルが小ぶりな瓶に入ったドライミントを手渡す。
アリシアは頷いてそれを受け取り、一人分計った茶葉に一つまみ加えた。
お湯が沸騰してきたので、少量をカップとポットに入れて温める。それからお湯を捨て、ドライミントを混ぜた茶葉を入れてお湯を勢いよく注いだ。
「そんなに勢いよく注いで、中身がこぼれませんか?」
副メイド長は少し眉をひそめる。
「茶葉がポットの中でしっかり舞うようにした方が美味しく淹れることができるんです。同じ理由で、お湯はしっかり沸騰したものを使います。
あ、沸騰したお湯を使う理由は、その温度の方が紅茶の成分が出るから、というのもありますが」
アリシアはポットに蓋をし、砂時計をひっくり返しながは答えた。抽出時間は普通のダージリンティーと同じで良い。
砂時計の中身が落ちきったのを確認して、アリシアはカップにお茶を入れる。1杯分の量だが、ミハイルにも味見をしてもらおうと、少量ずつ2つのカップに分け入れた。