第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「イルヴィス殿下……?」
肩まで伸びた、透き通るように輝く金の髪に、鮮やかな緑の瞳。青い宝石のピアスは前に会った時と同じ物だ。服装は白いシャツに黒のパンツというラフなスタイル。
そんな第一王子にしてアリシアの婚約者であるイルヴィスが、壁にもたれかかり、腕を組んだ状態で微笑を浮かべている。
「久しいな、アリシア」
「は、はい!ご無沙汰しております」
アリシアは丁寧に頭を下げた。そして自分が作業着を着ていることに気が付き、血の気が引く。
「見苦しい格好で申し訳……」
「構わない。気にするな」
「ええと、ミハイルさんにご用でしょうか?きっともうすぐ戻ってくると思うのですが」
「いや……」
イルヴィスは静かにアリシアの方へ歩み寄る。
背中に冷や汗をかいてきた。
「ここは気に入ったか?」
「ええ。管理が行き届いていますし、珍しい植物がたくさんあって興味深いです」
「そうか、それは何よりだ。ところで…」
アリシアはグッと息を飲む。対峙するイルヴィスは笑みを浮かべているのに、目は笑っていない……ような気がする。