第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
レミリアは数年前にグランリアの隣国、ルリーマ王国の子爵家に嫁いだ。彼女の住んでいるところまでは馬車で数日かかるので、簡単には会いに行けない。
「アリシアちゃんを独占しようなんて……全く、姉さんったら大人気ないわね」
「あなたもよく似たものじゃないの、レミリア」
「あたしは!遠いから!なかなか会えないの!
あたしが姉さんなら毎日でもアリシアちゃんに会いに来るわよ!」
レミリアは可愛らしく桃色の頬を膨らませた。
アリシアが二人を宥めようとした時、アリシアの母がテラスに姿を現した。
「セシリアちゃんもレミリアちゃんもお帰りなさい。元気そうで安心したわ」
そうやっておっとりと笑う母は、歳よりもかなり若く感じられる容姿で、セシリアやレミリアの姉のようにも見える。
二人は義母の顔を見るなり、アリシアを見た時と同じように頬を緩ませた。
「ソフィアさん」
「わあ!ソフィアさんもお久しぶりです!」
二人の義娘の反応に、ソフィアは少し困ったような顔をする。
「貴女たち、相変らず母と呼んでくれないのね」
「え……だってねえ?レミリア」
「ええ。そうよね、姉さん」
先ほどまで言い合っていたはずが、二人は顔を見合わせうなずき合っている。