第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
王子様が出てくるような、ファンタジー系の恋愛ものも読むには読んだが、やはり好きなのは学園ものだった。きっと、あまり学校へ行けなかったことへの反動だろう。
体調が戻ったアリシアが最初にしたのは、鏡の前に立つことだった。
鏡の中の自分をじっと見る。
サラりと背中まで伸びたターコイズブルーのストレートヘア。パッチリとした瞳は髪より少し濃い青で、まつ毛は長め。肌は白くきめ細やかで、うすい唇の桃色が映える。
さすがに病み上がりなので、やつれてどこか不健康そうな印象ではあるが、なかなか綺麗な顔をしているな、と自分のことながら少し感心した。
(この髪の色は嫌いだったけど)
アリシアは髪を撫でながら思った。
(元日本人の“ わたし”の目から見ると、すっごく綺麗な色よね)
この国──グランリア王国では、ブロンドや茶色系の髪色が多い。青系の髪でも、そのほとんどは暗めの青で、アリシアのように緑がかった色は珍しい。
周りは美しい色だと褒めてくれるが、アリシアはもっと普通でいいと思っていた。
だが、前世の記憶を取り戻した状態では、慣れているはずの景色が全て新鮮に見えた。