第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
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主人公には会いたくない。
だが、アリシアには彼女とは別に会いたくない人物が一人いる。
その人物もまた漫画に出てくるが、「婚約破棄されたくない」という理由で近づきたくない主人公とは違い、その人物はただ単に苦手なのだ。
(会いませんように会いませんように……)
イルヴィスとのティータイムを終え、ハーブ園を見に行こうとする道すがら。そんな風に祈りながら歩くが、その希望はみごとに打ち砕かれた。
前方から、今までたくさんの女性を魅了してきたであろう低くて甘い声に呼びかけられた。
「おお!そこにいるのはアリシア・リアンノーズ嬢ではないか」
無視して帰りたい気分だが、身分的にそういうわけにはいかない。
アリシアはお得意の作り笑いを浮かべて、顔を上げる。
「これはこれはロベルト殿下。ご機嫌よう」
「いやあ、久しぶりだね。学園の卒業パーティ以来かな?」
「ええ」
お会いしたくなかったです、と心の中で付け足す。
ロベルト・グランリア。イルヴィスの弟でデュランの兄。つまりはこの国の第二王子である。
そして、アリシアとは学園の同級生だった。
「アリシア嬢は何故ここに?……ああ、兄上の婚約者になったのだったか」
主人公には会いたくない。
だが、アリシアには彼女とは別に会いたくない人物が一人いる。
その人物もまた漫画に出てくるが、「婚約破棄されたくない」という理由で近づきたくない主人公とは違い、その人物はただ単に苦手なのだ。
(会いませんように会いませんように……)
イルヴィスとのティータイムを終え、ハーブ園を見に行こうとする道すがら。そんな風に祈りながら歩くが、その希望はみごとに打ち砕かれた。
前方から、今までたくさんの女性を魅了してきたであろう低くて甘い声に呼びかけられた。
「おお!そこにいるのはアリシア・リアンノーズ嬢ではないか」
無視して帰りたい気分だが、身分的にそういうわけにはいかない。
アリシアはお得意の作り笑いを浮かべて、顔を上げる。
「これはこれはロベルト殿下。ご機嫌よう」
「いやあ、久しぶりだね。学園の卒業パーティ以来かな?」
「ええ」
お会いしたくなかったです、と心の中で付け足す。
ロベルト・グランリア。イルヴィスの弟でデュランの兄。つまりはこの国の第二王子である。
そして、アリシアとは学園の同級生だった。
「アリシア嬢は何故ここに?……ああ、兄上の婚約者になったのだったか」