第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
イルヴィスと異なり、きらきらしさのある金髪が目を引くこの美形は、女癖の悪さに定評がある。
アリシアはそんな彼がとにかく苦手だ。
「妃をめとることを拒否し続けていた兄上が婚約者を選んだという話を聞いた時には、本当に驚いたよ。その上相手は俺たちの学年一の変わり者、アリシア嬢ときた」
「あら、わたしは変わり者でしたか?」
「ああ変わり者さ」
ロベルトはすっと手を伸ばし、アリシアの頬に触れた。
今すぐ払い除けたい気持ちを何とか抑えようと、アリシアは自らの手をつねる。
「学園の花壇の花を全て薬草に変えたり、授業に来ないと思えば、辺りの植物を延々と観察していたな」
「話を盛らないでください。薬草に変えた花壇は花が枯れてしまったところだけですし、授業にだって少し遅れたくらいです」
「あー……そうだったか?
だが何より変わっているのは、俺がどんなに口説いても全くなびかなかったところだな」
ロベルトはアリシアに触れた手をつっと動かして頬を撫でる。
(この男が王子じゃなかったら間違いなく突き飛ばしてるわ……!
いくら身分が高いイケメンでも、チャラい女好きが許されるのは二次元だけ!)