第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


 アリシアは少しの間じっとロベルトの顔を見た。

 改めて見ると、目元がイルヴィスとよく似ている。



「はは、そんな顔をするなよ。アリシア嬢が淹れてくれたものなら、不味くたって全部飲むさ」


「……美味しくないことが前提ですか」



 それに、戸惑っているだけで、「口に合わなければ飲んでもらえないのか」と心配していたわけではない。



(でも正直、そういう言い方をされると何がなんでも「美味しい」って言わせてやりたいわね)



 アリシアは少し考えてから提案した。



「イルヴィス殿下にお出ししたカレンデュラは使い切りましたので、違うものを用意します。
しっかりと準備がしたいので、一時間ほどお待ち頂けますか?」



 ロベルトの好みそうな味を調べて、最高の一杯を出す。

 絶対に美味しいと言わせてやろうではないか。


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