第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
(フルーツかあ……思い切ってフルーツティーにしてみようかしら。調理場に行ってお願いしたらフルーツぐらい分けてもらえるだろうし)
生のフルーツに茶葉と一緒にお湯をそそいで作るフルーツティー。紅茶とフルーツの香りが上手く混ざり合い、美味しいのだ。だが…
(普通の紅茶なら良いけど、ハーブティーを淹れろ、って言われたしな……ハーブティーは香りが強いからフルーツの香りを打ち消しちゃうのよね)
せっかく良い考えだと思ったが、この案は無しだ。
(オレンジピールとかクランベリーとかなら乾燥させたものもあったかしら。だけどロベルト王子が気に入っているフルーツタルトにはオレンジもベリーも乗ってなかったし……)
もし苦手なフルーツだったりしたらまずい。先程の話から苦手ではないことが確実であるマスカット・桃・りんごをもとに考えたい。
アリシアは頭を悩ませ、気がつけば庭園に出ていた。
すっかり忘れていたが、ハーブティーの茶葉はいつも自宅から持ってきていて、給湯室には保管されていない。王宮でハーブティーを調達するなら、ミハイルを頼るしかない。
良い案が浮かばないまま、重い足取りでハーブ園の方角へと足を進める。