第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
ターコイズブルーの髪はうっとりするほど美しいし、そもそもこの世界は前世とは全く違う。前世の日本の感覚で言えば、中世ヨーロッパ風世界といったところか。
そして、アリシアが何より嬉しかったのは、自分が健康な体であることだった。
5日ほど高熱にうなされはしたものの、それまでは年に数回体調を崩す程度。前世の“彼女”と異なり至って健康だ。
(こんな丈夫な体でありながら、今まで何もせずに退屈して過ごしていたなんて……何て勿体ないのかしら)
何をやっても特別才能があるわけではないので、伯爵令嬢として恥じない程度の教育は受けた。それでも興味を持って何かに取り組んだことなどはない。
(今までを勿体ないと嘆いていても仕方がないわ。今日から心を入れ替えて、病弱だった前世では出来なかったようなことをやらないと!)
アリシアは心に決めて、鏡の前でよし、と気合いを入れた。
その日からアリシアの毎日は変わった。
色々なものに興味を持ち、世界は常に輝いていた。
中でもアリシアが一番ハマりこんだのは、ハーブや薬草だった。前世の母はハーブティー好きで、よく良い香りのするハーブティーを飲んでいた。
しかし“彼女”は、病気や薬の影響でそれらは飲めず、いつも羨ましく思っていた。