第一王子に、転生令嬢のハーブティーを



 ロベルトのためのお茶会は、温室のすぐ近くにある東屋で開催することにした。


 ミハイルによると、王子たちは庭園を散歩しがてら時々ここへ寄ることがあるらしい。



「やあアリシア嬢。アリシア嬢の淹れるハーブティーが待ち遠しくて、この一時間がまるで永遠のように長く感じたよ」



「……さあ、冷める前にどうぞ」



 このキザな物言い。相手にしたら負けだ。


 ロベルトはティーカップに入の中を興味深げに眺めてから、そっと匂いをかいだ。



「甘い香りがするな」


「砂糖や蜂蜜は入れていませんので、味の方はあまり甘くないです。どうぞお好みで入れてください」



 ロベルトはアリシアの言葉が言い終わる前に一口すすった。




「フルーツ……そうだな、マスカットのような味がする」


「エルダーフラワーというハーブです。マスカットとは関係ないのに、近い香りがするんです」


「へえ。不思議だな」



 言いながらロベルトはティーカップを何度も口へ運ぶ。

 アリシアは感想が知りたくて焦れったく思いながらも、それを悟られないよう落ち着いた口調で尋ねる。



「お口に合いましたか?」



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