第一王子に、転生令嬢のハーブティーを



『わたしは貴方の兄の婚約者ですよ!?そういう軽率な行動は避けてください!』



 アリシアからはっきりと言い放たれた言葉が、ロベルトの頭で繰り返し響く。



(兄の婚約者、か)



 ロベルトは昔から何一つ兄イルヴィスに勝つことができなかった。

 勉学、剣術、音楽……何においても、だ。


 それがコンプレックスで、何でも良いから勝とうと努力した。だが、その努力を嘲笑うかのように、イルヴィスは軽くそれを超えるのだった。


 無論、周囲は優秀な兄を褒めたたえ、ロベルトや弟のデュランには見向きもしなかった。デュランはそれに関して何か思う様子はなかったが、ロベルトには悔しくてたまらなかった。


 だがそれも14歳ぐらいになる頃には諦めがつくようになってきた。


 兄はこの国の第一王子として、次期国王になるために産まれてきたのだ。自分と出来が違うのは当然だ。

 そう考えることで幾分か気が楽になったものだ。


 ロベルトが様々な女性たちと浮いた噂を流すようになったのもその頃からだった。

 好いてくれる者が存在するというのは気分が良かった。言い寄ってくる女性たちを誰一人無下にしなかったため、いつの間にか女好きのプレイボーイだと言われるようになったのだ。


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