第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


 ロベルトはその噂を否定するどころか、逆に噂に乗じて、さらに多くの女性と浮名を流すようになった。

 その多くの女性たちの中に本気で愛した者などはいなかった。だが、兄は決してしないことをしている。それだけでどこか満たされるものがあった。



 しかし……。持ち前の美しさと地位で、どんな女でも口説けば簡単に落ちる。この事実が揺らぐような出来事が、学園に入って起こってしまった。


 アリシア・リアンノーズ。同学年で伯爵家の令嬢である彼女は、学園の中で良くも悪くも異色と言える存在だった。

 貴族ばかり集まる学園では、少しでも高く見られようと、服装だの学力の優劣だのを張り合うのが日常茶飯事だ。


 そんな中アリシアは、服装は多少上等なものではあっても、街にある仕立て屋にでも行けば手に入りそうなレベルのものをいつも身にまとっていた。

 リアンノーズ家は曲りなりにも伯爵家。金がないというわけはあるまい。単に彼女がそのような争いに意味を見出していないだけのようだった。

 学力については、アリシアは全体的に見て優秀な成績を修めていたとは言い難い。だが、植物学など興味のあるらしい一部のものだけは優秀だった。



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