第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
前世ではせめて本だけでも、とハーブ関連の本をいくつも読んでいて、知識だけはあった。だから今世でその知識を活かして実際のハーブを育てたりもした。
念願のハーブティーを初めて飲んだ時の喜びと、その味は忘れられない。
泥だらけになってハーブの世話をしたり、乾燥ハーブを売る店を見たいと、使用人たちの目を盗んで勝手に街に出るなど、時には令嬢らしからぬ真似をすることもあった。
そのせいか、それまでのアリシアを知る人々からは「高熱を出したせいで人が変わった」などと噂されたりもしたが、自分では少しも気にしなかった。
家族も、勝手に街へ行くなどの危険な行為を咎めはしたが、それ以上にアリシアの笑顔が増えたことを喜んだ。
14歳の時からは、学園へ通い始めた。前世のものと違い、学ぶことよりも、貴族の子息令嬢たちの交流の場という性格が強いものだったが、とても楽しかった。
そして17歳──前世で生きた年齢──を迎えた年、その楽しかった学園を卒業した。その数ヶ月後、というかつい先日、アリシアは父からこんなことを言われた。
「王宮で主催されるお茶会に、お前も招待された」