第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
「まあまあ、そんな所に突っ立っていないで座ってくださいな〜」
「ありがとうございます」
アリシアは窓際にある席に腰を下ろす。
ふと窓に目を向けると、外に置いてある植木鉢に、見覚えのある白くて小さい花が咲いているのが見えた。
王宮の庭園で見かけ、エルダーフラワーの存在を思い出させてくれたあの花だ。ミハイルに何という花なのか尋ねようと思い忘れていたのだった。
せっかくなので、ちょうどカウンターの中で何かを物色しているリリーに聞いてみると、彼女は手を休めないまま答えた。
「あー……スイートアリッサムですね〜。甘い良い香りがしますけど、残念ながら観賞用です〜食べちゃダメですよ〜」
「別に食べられることを期待したわけじゃないけど……」
思わず苦笑いする。
どうしてだか、アリシアは食いしん坊認定されているらしい。
「それにしてもリリーさんの知識の豊富さはやっぱりすごいですよね。植物にお茶、コーヒーやお菓子なんかにも詳しいもの」
「そんなことないですよ〜。日々勉強です〜。それに、ハーブについてはアリアさんの方が詳しいですしね。お、あったあった」