第一王子に、転生令嬢のハーブティーを
リリーは目的の物を発見したらしく、瓶を片手に、アリシアが座る席へやってきた。
「面白いお茶を手に入れたんです〜。これはアリアさんに教えないとと思って」
テーブルに置かれた瓶の中には、緑っぽくて丸い、茶葉のようには見えない物体がいくつか入っている。
「確かに変な茶葉ですね」
「ふふ、面白いのはここからなんですよ〜」
そう言ったリリーは、透明度の高いガラスポットに謎の丸い茶葉を一つ入れると、お湯を注いで蓋を閉じた。
「絶対に驚きますから、見ていてくださいね」
アリシアは素直に従い、じっとポットの中を見る。
ぷかりと浮いている丸い茶葉に、すぐにはこれといった変化はなかった。
しかし、しばらく見ていると、ゆっくりと茶葉がふくらみ始めた。いや、ふくらんでいるというより、開いてきていると言った方が正しいだろうか。
さらに──
「何……これ」
開いてきた茶葉の中から、元の地味な色とは似つかわしくない、鮮やかなオレンジ色の花が姿を現した。
「花が、咲いたわ」
中に入っていた花は、そのオレンジ色の花だけではなかった。ポットの中でゆっくりと沈みながらいくつかの白や桃色の花が出現する。