第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


「これは工芸茶(こうげいちゃ)というもので、お花を茶葉で包んで糸で止めてあるそうですよ」


「すごい……」



 魔法のようなものを目の当たりにして呆気にとられてしまい、気の利いた感想が出てこない。

 本当にポットの中で花が咲き誇っているようだ。



「綺麗でしょう〜?綺麗ですけどちゃんとお茶なんですよ〜」



 リリーは嬉嬉としてポットの中身をカップに注ぐ。

 なるほど、確かに紅茶の香りがふわりと香り、色も優しい琥珀色になっている。



「どうぞ召し上がれ」


「いただきます」



 味は少し甘みがある、慣れ親しんだ紅茶の味だ。

 ほぅっと自然に息がこぼれる。



「飲み終わったあとの茶葉は、水に浮かべておくと可愛らしく飾れますよ〜」


「へえ、素敵!」


「工芸茶って、少しアリアさんっぽいですよね」


「えっ、どこが」



 工芸茶の美しさに恍惚としていたところにそんなことを言われ、つい眉をひそめる。

 リリーはそんなアリシアの様子にへにゃりと笑った。



「だってアリアさんも、高貴で華やかな本当のお姿をこうやって隠してますから」


「……何のことでしょう」


「うふふ」


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