love game♡
前に言っていた。

登さんは、お兄さんがわりであって
兼、保護者だと。

一人暮らしもしていると。

事情があるんだと知っていたけど
あえて聞くのもどうかと思って聞いていなかった。

「聞いてもいいですか?伊織くんはなんで一人暮らしを?」

「あーうん。つかさちゃんになら話してもいっか。アイツの父親な暴力を振るう人で
伊織を産んですぐ、伊織にも手を上げそうになって離婚した。そんで母子家庭になったわけ。俺んちのアパートと隣同士だったんだ。
2人で頑張って生きていくって、伊織の母さんは必死に働いてアイツを育てた。
だから、疲れちまったんだよな。」

何も言わず黙って聞いていた。

「伊織の母さん、男にかまけて伊織が邪魔になっていた。毎日のように男連れ込んで
ついには伊織を放置して家にも帰ってこなくなって、伊織は餓死寸前になった。俺んちが見つけてなかったらアイツ死んでたかもしれない。で、アイツを面倒見ていた。
ある日、母親が帰って来て結婚するって言われたんだ。母親のお腹に赤ちゃんができて
付いて来るように言われたけど、伊織は一人暮らしを選んだ。」

「だから、幸せになってる人を見るとイラつくって言ってたんだ。」

「そうだな。
あいつが1番欲しいものだから。
誰かに愛してもらうこと。
父親のことも、母親のこともアイツ、産まれて来たからそうなったって自分を嫌ってた。
人を好きになんてなれねーよな。幼い頃から教わってなかったから。自分を嫌って人を嫌って、アイツ誰1人信じてなかったんだよ。」

「寂しそうに見えたもそれで。」

「そう。でもね、つかさちゃんに会ってからアイツ表情豊かになって何よりさ
つかさちゃんが今日来てくれたからアイツ
つかさちゃんのこと信用して来てるかも。」

「伊織くん‥」

「昔から、熱があるときも
無茶して怪我した時も誰も来てくれなかったんだよ。友達さえも来てくれなくてアイツはずっと1人だったんだよ。」

思ったよりもずっと伊織くんは、
辛い思いをしていたんだ。

「そうだったんですね。」

「同情した?」

「少し。でも、伊織くんは1人ではないです。
少なくとも私がいる。伊織くんは、登さんもいる。伊織くんを必要としてくれる人はいますから。」

「はは。うん、やっぱり俺が見込んだ彼女だ。」

「私彼女じゃありません!!」

「そー?」

「付き合わないですよ!」

「そーかな?」

「もー!やめてください!!」

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