蘇りのウタ
2人して肩を並べて歩いている姿は、きっとごく普通のカップルのように見えることだろう。
「あたしね、車に撥ねられたとき一瞬にして魂が抜けていたの。地面に叩きつけられるより先に、あたし自身が諦めちゃってたの。
自分の体が血に染まる様子や、幸弘の事を空中から眺めてた。何度声をかけても幸弘には届かないし、幸弘は茫然としているし。その時あたしは初めて気が付いたんだ。あぁ、簡単に諦めちゃダメだったんだって」
乃愛の声が震えだした。
俺は乃愛から手を離し、肩を抱きしめた。
少し歩きにくいけれど、乃愛は安心したようにほほ笑む。
「でもね、気が付いた時にはもう遅かった。あたしの体は死んでしまって、あたしの魂に帰る場所はなくなってた。
その時にね、真っ白な光が空から下りて来たんだよ。とても暖かくて、すぐにでもその光のはしごを上って行きたいと思った。けれど、できなかった」
「どうして?」
「だって、あんなに憔悴している幸弘を残して自分だけ暖かな場所に行くなんて、できないよ」
そう言って乃愛は俺を見た。
「あたしね、車に撥ねられたとき一瞬にして魂が抜けていたの。地面に叩きつけられるより先に、あたし自身が諦めちゃってたの。
自分の体が血に染まる様子や、幸弘の事を空中から眺めてた。何度声をかけても幸弘には届かないし、幸弘は茫然としているし。その時あたしは初めて気が付いたんだ。あぁ、簡単に諦めちゃダメだったんだって」
乃愛の声が震えだした。
俺は乃愛から手を離し、肩を抱きしめた。
少し歩きにくいけれど、乃愛は安心したようにほほ笑む。
「でもね、気が付いた時にはもう遅かった。あたしの体は死んでしまって、あたしの魂に帰る場所はなくなってた。
その時にね、真っ白な光が空から下りて来たんだよ。とても暖かくて、すぐにでもその光のはしごを上って行きたいと思った。けれど、できなかった」
「どうして?」
「だって、あんなに憔悴している幸弘を残して自分だけ暖かな場所に行くなんて、できないよ」
そう言って乃愛は俺を見た。