蘇りのウタ
その後ろ姿について歩きながら、寒気を感じた。


カケルは本当にあたしたちを森から出してくれるんだろうか?


出口へ向かっているように見せかけて、本当は森の奥深くに誘導されているんじゃないだろうか?


そんな不安が胸に広がって行く。


その時、大きな鳥が飛び立つ音が聞こえて来て、あたしは思わず悲鳴を上げていた。


頭を庇うようにして身をかがめる。


「大丈夫だよ。ただの鳥だから」


あたしのオーバーアクションにカケルはクスクス笑いながらそう言った。


その態度にムッとする。


「出口は本当にこっちで合ってるの?」


八つ当たりをするようにキツイ口調でそう聞いた。


「合ってるってば。俺はこの森のエキスパートなんだからさ」


カケルは自信満々に言う。


本当だろうか?


そう思っていた時、カケルがポケットからスマホを取り出した。
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