蘇りのウタ
そして、ガサリと一番近くの木が揺れた。


乃愛が俺の後ろで息を飲む。


なにかがいる。


そう思った次の瞬間、その何かが俺たちの前に飛び出して来た。


咄嗟に乃愛の手を掴み、走る。


逃げたら追いかけて来るかもしれないなんて、考える暇もなかった。


分かれ道を適当に曲がり、無我夢中で走る。


乃愛の手だけ絶対に離さないようにきつく握りしめている。


後ろから数人の足音が聞こえて来る。


だけど振り向く事はできなかった。


さっき森から出て来たモノが追いかけてきているかもしれないと思うと、恐ろしくて振り返る事はできなかった。


走って走って、気が付くと道はとても狭くなっていて人が1人通れるくらいの幅になっていた。


そこまで来て、俺はようやく立ちどまった。
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